弓道の弦の張り方の基本と安全な手順解説

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弓道を始めてしばらく経った方や、先輩に見てもらわずに自己流で道具を扱い始めて不安を感じている方にとって、「弓道の弦の張り方」は誰もが一度は緊張する大きなハードルのひとつですよね。特に、道場に自分しかいないときなど、弓の張り方を1人で行う場合には、正しい姿勢のキープや力の上手なかけ方、そして何よりも安全面への細心の配慮が求められます。あの強いしなりが跳ね返ってきたらと思うと、最初はちょっと怖いなと感じるのも無理はありません。
また、狙い通りに安定した射を実現するためには、弦の両端にある「弦輪(つるわ)の作り方」を正しく理解して、弦輪の向きや弦輪の位置にもミリ単位で細心の注意を払う必要があります。ここのセットが適切でないと、弓にかかる張力が左右でギクシャクと偏ってしまい、矢の飛び方がおかしくなるだけでなく、大切な弓そのものの寿命を縮める大きな悪影響を与えてしまうんですよ。
さらに、弦輪の大きさの微調整も、実は見落とせないくらい非常に重要になってきます。輪っぱが大きすぎても小さすぎても、弓具の先端に余計なねじれや負担がかかってしまい、行射中の思わぬ大トラブルや破損の原因になりかねないからですね。
この記事では、初心者の方でも直感的に理解しやすいように、弦の張り方に関する正しい知識と、弦輪を綺麗に仕立てるための各ポイントを分かりやすく丁寧に解説していきます。安全に、そしてお気に入りの弓具を何年も長く使うための基礎を、私と一緒にここでしっかり身につけましょうね。
記事のポイント
- 弓の張り方を1人でもケガなく安全に行うための具体的な手順
- 弦輪の正しい作り方と、仕上がりがガチッと安定する結び方のコツ
- 弦輪の向き・位置・大きさがベストかどうかを見極める適切な判断基準
- 弦輪の丁寧な調整が、弓具の保護や日々の射の冴えに与える素晴らしいメリット
弓道の弦の張り方の基本と注意点
- 弓の張り方 1人で安全に行うコツ
- 弦輪の作り方と必要な準備
- 弦輪の向きと正しい設定方法
- 弦輪の位置を決める基準とは
- 弦輪の大きさで変わる弓の性能
弓の張り方 1人で安全に行うコツ
弓の張り方をサポートなしで1人で行う場合、最も胸に刻んでおいてほしいのは「無理に腕力だけでコントロールしようとせず、自分の体重をうまく使って安全な姿勢で作業すること」です。これを怠って、焦って力任せに弓を曲げようとすると、弓が横にゴロッと反転して破損するだけでなく、顔や体に強い跳ね返りを受けて怪我につながる恐れもありますからね。
まず準備段階として、床に弓の上側である「末弭(うらはず)」を安定して置けるように、少し厚手のタオルや専用のクッションなどを必ず敷いて用意してください。体育館のフローリングや道場の床に直接置いてしまうと、力をかけた瞬間にズルッと滑って大事故になる危険があるため、このクッション材は絶対にサボってはいけない必須アイテムですよ。姿勢としては、弓の下側である「本弭(もとはず)」を右太ももの付け根あたりにしっかりと乗せ、左膝を床につけて、右膝を立てる片膝立ちになります。こうすることで、体の重心が地面に低くドシッと収まるので、弓を押し込んでも体がブレにくくなりますよ。
次に、弓をたわませていくときの手の力のかけ方にも、ちょっとした安全なコツがあります。イメージとしては、押し込む右手側に8割、弓のバランスをキープして支える左手側に2割ほどの力を分配するのがベストかなと思います。左手で弓の握りの下あたりをしっかり支えつつ、右手で手下の部分を体ごと静かに下方向へ押し込んでいきましょう。このとき、弓をまっすぐ真下に潰そうとするのではなく、弓全体をほんの10度〜30度ほど左側に軽く倒してから真下に向かってグッと押すと、弓の自然な反りに沿って力が効率よく伝わりやすくなります。ただし、弓が持っている個々の反りやクセ、季節の具合によっては、右側に倒す方がスムーズに張れる場合もあるので、愛用の弓の形を普段からよく観察して判断してあげてくださいね。
そして、弓が十分にたわんだら、いよいよ右手で弦の輪っぱを弭にかける動作に移りますが、この瞬間が一番気が抜けないところです!手が汗で滑ったり、弦がしっかりかかりきる前に一気に力を緩めてしまうと、弓の猛烈な反発力で弓がパチンと弾けてしまいます。不意に動いた弓が身体に激突すると本当に痛いので、かかる瞬間まで右手は絶対に離さないように十分注意が必要です。弦を無事にかけ終えた後は、すぐに立ち上がらず、上下の「成り(弓の曲がり具合のバランス)」が綺麗に正中線を通っているかを確認し、弦が右や左に偏っていたら優しく指でセンターに微調整を行ってあげましょうね。
1人で弓を張る際は、周りのスピードに合わせようとして短時間で終わらせようと焦る必要はまったくありませんよ。呼吸を落ち着かせて、一つひとつの手順を順番通りに確認しながら進めること。これを意識するだけで、不意の事故や大切な弓の劣化を大幅に防ぐことができますよ。
丁寧な手順については、和弓工房 永野一萃さんの公式解説(こちら参照)などでも、安全な取り扱いの大切さが詳しく語られています。
弦輪の作り方と必要な準備
弦輪の作成は、弓道の世界では日常的なお馴染みの手作業ですが、実は最も職人技に近い繊細なパートでもあります。ここで緩みのないしっかりとした弦輪を作れるかどうかが、弓のポテンシャルを100%引き出して、いつでも狙い通りに安定した射を行うための生命線になってくるんですね。
まず始める前の準備として、あなたが買ってきた新しい弦の先端に「弦輪を結ぶためのしなやかな柔軟性」があるかどうかをチェックしてあげてください。買いたての弦の端っこは麻や合成繊維がガチガチに固まっているので、そのまま無理に折り曲げて結ぼうとすると、繊維がプチプチとひび割れて最初から耐久性が落ちてしまう原因になります。そのため、弦の先端をあらかじめ指先でかるくモミモミともみほぐし、赤い印がついた部分を柔らかくしてあげるのが、長持ちさせるための優しい一工夫ですよ。さらに、この作業は指先の細かな力加減だけで紐を結んでいくので、手汗によるスリップにも気を配りたいところ。作業を始める前にタオルできちんと手の水分を拭き取るか、薄手の滑り止め付きの手袋を使うと、一発できれいに結べて作業効率がグッと上がりますよ。
弦輪の結び方のスタイルには、大きく分けて「一重結び」と「二重結び」という2種類の伝統的な方法がありますが、私としては使用中に絶対にズレてこない「二重結び」を強くおすすめしたいかなと思います。一重結びはパパッと作れて簡単に見えるのですが、強い弓の張力に耐えきれずにだんだん輪っぱが伸びてきたり、耐久性が落ちてしまったりする傾向があるため、まだ力加減に慣れていない初心者の方にはあまり向いていないかなと思います。
結び目を作る位置は、弓の末弭にある角張った突起「三つ角(みつかど)」から、自分の指4本分を弓に沿わせて下ろした場所がちょうどいい目安になります。人差し指の先が結び目のセンターにピタッと重なるように位置を調整しながら、輪っぱの大きさを決めていきましょう。理想的な輪の大きさは、弓の弭のパーツに隙間なくぴったりフィットするサイズ感です。ここが大きすぎると、矢を放った瞬間の衝撃で弦が横にグラグラとずれてしまいますし、逆に小さすぎると、弭の細い部分にギリギリと無理に食い込んでしまい、最悪の場合は行射中に弦がそこからブツンと切れる原因になってしまいます。
また、結び目を作るときには、輪っぱの根元の紐を2〜3回ほどしっかり巻きつける「ねじり(もじり)」を忘れずにかけておきましょうね。このねじりがストッパーの役割を果たしてくれるので、何本引いても緩みやズレが起きないタフな弦輪になってくれますよ。何度もあきらめて結び直していると、摩擦で弦の繊維がどんどん傷んでしまうので、慌てずに一回でカチッと決めるような気持ちで集中して作ってみてくださいね。
弦輪の向きと正しい設定方法
弦輪を弓にセットするときの「向き」は、弓道における矢の直進性と、あなた自身の安全を守るために絶対に無視できない超重要ポイントです。正しい向きでセットしてあげないと、弓を引いたときに不自然なねじれの力が左右非対称にかかってしまい、矢が思った方向に飛ばなくなるだけでなく、弓の形自体がグニャリと歪んでしまうリスクがあるからですね。
弓道の弦輪には、それぞれ可愛らしい名前がついていて、上側に来る輪を「日の輪(ひのわ)」、下側に来る輪を「月の輪(つきのわ)」と呼びます。一般的に、袋から出したときに最初から綺麗に作られている下側の輪が月の輪で、自分で赤い紐を編んで作る上側の輪が日の輪ですね。この2つの輪っぱには明確に向きの決まりがあって、日の輪(上弦輪)は弓弭の「右側」にクロスが来るように、月の輪(下弦輪)は「左側」にクロスが配置されるようにセットするのが弓道の基本の鉄則になります。こうして左右をあえて対称に振り分けてあげることで、弦が元々持っている自然なねじれが弓の立体的な反りと美しく一致して、発射のエネルギーが中央に均等に分散されるようになるわけです。
もしもこの弦輪の向きをうっかり逆に取り付けて弓を張ってしまうと、引き絞るにつれて弓の上下で別々の方向へ不自然なねじりパワーが働くようになってしまいます。このおかしなねじれは、離れの瞬間に矢を押し出すラインを狂わせて的中を落とすだけでなく、弦の擦れを早めて寿命を短くし、最悪の場合は大切な弓がパキッと割れて破損する悲しい原因にも繋がります。特に、まだ買ったばかりの馴染んでいない新弓や、元々しなやかに大きく曲がる弱めの柔らかい弓ほど、この向きの間違いによるねじれの影響をモロに受けやすいので、本当に注意が必要ですよ。
具体的に取り付けるときのチェック方法としては、弦の輪っぱが交差している「クロス部分」が、弓を構えたときに自分の「前側(的側)」にちゃんと来ているかを意識して、後ろ側(手前側)の2本の紐はねじれずに平行にスッと並ぶように形を整えてあげてくださいね。この立体的な構造がしっかりキープできていると、弓の本来の反りと弦の張力が、まるでパズルのピースがハマったみたいに美しくバランスよく保たれます。初心者のうちは「あれ?どっちが右だったっけ…」と混乱しやすい部分でもあるので、少しでも不安になったら、張るのを止めて道場の先生やよく分かっている先輩に「これで合ってますか?」って気軽に確認してもらうのが一番安心かなと思います。
正しい弦輪の向きでピンと弓を張ることができれば、矢が驚くほど素直にまっすぐ飛んでいってくれますし、矢を放った瞬間の「パンッ!」という澄んだ美しい弦音(つるね)が道場にきれいに響き渡るようになりますよ。これぞ弓道の醍醐味ですし、この快感を味わうためにも、毎回の向きの確認は絶対にサボらずに楽しんでやっていきましょうね。
弦輪の位置を決める基準とは
弦輪を弭のどの高さにセットするか、その「位置」を正しく決めることも、弓と弦の接点を常に安定させて、射の精度を高いレベルでキープするためには絶対に欠かせない作業です。パッと見はほんの数ミリの小さな違いに思えるかもしれませんが、弦輪の位置が上下に少しずれただけでも、引き絞ったときに弓の上下の湾曲にかかる張力バランスがガタガタと崩れてしまい、矢が上下に散る原因になったり、弓の耐久性にダイレクトにダメージを与えたりするんですね。
ここで、昔からの日本弓の素晴らしい知恵として基本になっているのが、「三つ角(みつかど)」を起点にしたスマートな測定方法です。三つ角というのは、弓の一番上の先端パーツ(末弭)の内側にある、ちょっとポコッと角張った突起状の目安点のこと。その三つ角の場所に自分の小指をピタッと合わせて、そこから薬指、中指、人差し指の順番に4本の指を弓の革に沿わせるように綺麗に並べて置くんです。そうしたときに、一番下に来る人差し指の先端が差しているその場所こそが、ちょうど弦輪の結び目のセンターが来るべきベストポジションになります。この「指4本分」というルールは、日本の弓道で何百年もの長い間、先輩から後輩へと大切に受け継がれてきた伝統の黄金基準であり、実際の引き心地の安定感も抜群に高いことが証明されているんですよ。
この手のひらを使った測定方法の何が良いかっていうと、あなたの弓のサイズが並寸だろうが二寸伸だろうが、あるいは弓の反りの強さに関係なく、自分の「手の大きさ」を基準にして、その時の自分に一番無理のないオーダーメイドな調整が自動的にできちゃうところなんですね。ただ、もちろん人の指の太さには個人差がありますし、お使いのグラス弓やカーボン弓の個性によって、ほんの少しの微調整が必要な場合もあります。なので、まずはこの指4本分の目安をしっかりベースにしつつ、実際に弓を張ってみたときの弓の全体のカーブ(成り)の美しさや、弦がちゃんと真ん中を通っているかを自分の目で確認しながら、あなたの弓にとっての「本当のジャストな位置」をじっくり見極めていくのが楽しいプロセスかなと思います。
逆に、もしこの弦輪の位置が大きくずれたまま弓を張ってしまうと、離れの強い衝撃で弦が弭の奥深くにギチギチと食い込んでしまって外れなくなったり、逆に位置が浅すぎて発射の瞬間にパチンと弦が外れて跳ね上がったりすることがあります。これが射のブレを生むのはもちろん、弓の木材を痛めて破損させたり、弦の寿命を極端に縮めてしまう最大の原因になるわけです。特に弓道を始めたばかりのビギナーさんがやってしまいがちなのが、弦輪を結んだ満足感で安心しちゃって、実際に張った後に位置がキープされているかを再確認せずにそのまま矢を番えて引き始めてしまうケース。これは思わぬ怪我にも繋がって本当に危険なので、弓を張り終えたら必ず一歩引いて、「弓の真ん中のライン(正中線)を弦が綺麗に通っているかな?」「左右に変な歪みは出ていないかな?」と、目視で指差し確認するのを毎回の鉄則のルーティンにしてくださいね。
このように、弦輪の位置を正しく決めてあげることは、道具の力を100%発揮させてあげるための最初の大事な一歩です。このちょっとした手間を惜しまずに、毎回丁寧にお世話してあげる習慣をつけること。それこそが、道場での安定した素晴らしい中りを生み出すための隠れた土台になりますよ。
弦輪の大きさで変わる弓の性能
弦輪の「輪っぱの大きさ」というのは、弓に張った弦がどれだけブレずに持ちこたえてくれるかを左右する、とても大きな鍵を握っている要素なんです。自分の弓の弭のサイズに対して適切な大きさになっていないと、弓と弦のドッキング部分がグラグラと不安定になってしまって、いくら狙いを定めても射の精度が下がってしまうだけでなく、大切な弓具そのものに致命的なダメージを与えてしまう可能性もあるからですね。
まず、良かれと思って「かけやすいように」と弦輪を大きめに作ってしまった場合のデメリットからお話ししますね。輪っぱが必要以上に大きすぎると、弭のパーツに対する締め付け力(ホールド感)がユルユルになってしまうので、矢を引いてパッと放したその凄まじい瞬間に、弦輪が弭の上でズズッと滑って位置が動いてしまうことがあります。このほんのわずかなズレのせいで、弦にかかる張力のテンションが一気に抜けて矢の勢いが死んでしまいますし、何より毎回ズレるせいで弦の繊維がどんどん伸びやすくなって、練習のたびに何度も弓を張り直して高さを変えなきゃいけないという面倒なことになりかねません。さらに、弦輪が定位置で落ち着かずに暴れると、弓の反発パワーも毎回バラバラになってしまうので、矢の飛び方が一定にならずに「中ったり外れたり原因が分からない…」という泥沼にハマる原因にもなっちゃうんですね。
じゃあ逆に、「絶対に外れないように」と弦輪を小さくキツキツに作ったらどうなると思いますか?実はこれも、同じくらい危険な落とし穴があるんです。弦輪が小さすぎると、弓を張ったときに弭の根元にものすごいパワーでギチギチと食い込みすぎてしまいます。これが原因で、弓の背中側のパーツ(外竹)に対して、横方向からの過剰な圧迫ストレスが常に加わり続けることになるので、最悪の場合はそこからメリメリとひび割れが起きたり、弓の先端がポキッと折れてしまう大きな破損の原因になることがあります。また、弦自体の繊維にも余裕がなくなって常に限界まで引っ張られた状態になるので、結び目の根元からブツンと突然切れてしまうリスクが跳ね上がります。特に、湿気や乾燥に敏感な伝統的な竹弓や、シャープに作られた高キロのカーボン弓などでは、この小さすぎる弦輪による食い込みは絶対に避けなければいけない命取りなポイントなんですよ。
それじゃあ、私たちの目指すべき「理想的な弦輪の大きさ」って一体どれくらいなのか気になりますよね。基準としては、弓の弭のパーツに対して、「余計な隙間がなくピッタリとはまるけれど、張るときに親指で無理やり押し込まなくても、スッと気持ちよく収まるジャストサイズ」が100点満点です。この絶妙なサイズ感を一発で掴むのは最初はなかなか難しいので、新しい弦を下ろしたときは、一度結んだ後に実際に弓に仮に当ててみて、「お、ちょうどいいな」とか「あ、ちょっとユルいかも」と試行錯誤してみるのが一番確実ですよ。何本か自分で弦輪を作って道場で引いていくうちに、指先の感覚だけで「よし、今日の輪っぱは最高のサイズで結べたぞ!」と自然に分かるようになってきますから、安心してくださいね。
弦輪の大きさというのは、ただサイズが合っていれば良いというわけではなくて、結び目の巻きの強さや全体の締め具合も含めて、弓のパフォーマンスを裏で操る大切な土台なんです。きれいに作られた完璧な弦輪は、弓と弦をまるで一つの生き物みたいに美しく一体化させてくれるので、放した瞬間にあなたの理想とする「パーン!」という澄んだ高い弦音や、鋭い矢飛びをプレゼントしてくれますよ。特に初心者のうちは、自分で作った弦輪の大きさがこれで本当に合っているか、一度弓具店さんや道場の指導者の先生に見てもらって、「これでバッチリ!」とお墨付きをもらうと、毎日の練習もより自信を持って迷いなく撃ち込めるようになるのでおすすめですよ。
弓道の弦の張り方を安定させる技術
- 弦輪の向きが弓に与える影響
- 弦輪の作り方で注意すべき点
- 弦輪の位置がずれるリスクとは
- 弦輪の大きさが弦に与える負荷
- 弓の張り方 1人での張り外しの手順
- 弦輪の向きと弓道の安全性の関係
- 弦輪の大きさ調整と弓具の保護
弦輪の向きが弓に与える影響
弦輪の向きを正しくセットすることは、弓の健康状態と、放たれた矢がどこまでまっすぐ飛んでくれるかをコントロールする、とても大切な隠し味なんです。「輪っぱの向きなんて、どっちでも弦が引っかかってれば同じでしょ?」なんて思ったら大間違いですよ。取り付け向きがちょっとでも狂っていると、弓の表と裏で不自然なねじれ合いが起きてしまって、自慢の弓のスペックを大きく下げてしまう原因になります。
もう一度おさらいしておくと、弓道で使う弦の輪っぱには、上側になる「日の輪」と、下側になる「月の輪」という風流な名前がそれぞれついています。これらはただの上下の目印ではなくて、弓に取り付けるときの「お約束の向き」がミリ単位で決まっているんですね。具体的には、日の輪は弓の先端(右側)に向けてクロスを配置し、月の輪は左側に向けて設置するのが基本のフォームになります。この左右にきれいに振り分けるお作法のおかげで、弦を引いたときに生じる独自のねじれが、弓が本来持っている滑らかな反り具合と美しくシンクロして、無駄な抵抗なく均等なパワーで弓をしっかりと支えてくれるようになるわけです。
もしもこの向きをうっかり逆にセットして弓を張ってしまうと、弦が弭のパーツに正しく噛み合わなくなるので、矢を放つたびに「パチン!」という衝撃で弦輪が右や左にズレやすくなってしまいます。特に、矢が体から離れる一番大事なリリースの瞬間に弦の根元がズレてしまうと、矢の押し出しラインがグニャッと歪んでしまうので、いくら狙いを正しく定めていても的中率がガクッと下がってしまうんですね。それだけでなく、毎回不自然な方向へねじられ続けることで、弓の木材やカーボンシートの内部に目に見えないヒズミが溜まっていき、ある日突然、弓全体のバランスが崩れてしまう原因にもなっちゃいます。もちろん、変な摩擦が増えるので弦の繊維も早く毛羽立ってしまって、コスパ的にも寿命を縮めることになって損ですよ。
さらに、正しい向きでハマっていると、離れの瞬間に余計なブレが出ない分、弓の反発力が100%矢に伝わるので、矢のスピード(矢勢)がグンと増しますし、耳に心地いい澄み切った最高の弦音を道場に響かせることができるようになります。これがおかしな向きだと、音がなんだか「ボフッ」と濁ってしまったり、引いている手に嫌なブルブルとした不快な振動が残ったりして、自分の感覚を狂わせる原因にもなりかねません。弦輪の向きは、パッと見は本当に小さな違いに見えますが、弓の動き全体をコントロールする大事なセンサーのようなものですから、弦を張る前には必ず「日の輪は右、月の輪は左!」と、声に出して確認するくらいの気持ちでチェックしてあげてくださいね。特に初心者のうちは間違えやすいポイントなので、慣れるまでは先輩に毎回見てもらうのが上達への近道ですよ。
弦輪の作り方で注意すべき点
弦輪を自分の手で仕立てていくときには、いくつか絶対に譲ってはいけない大切な注意点があるんです。一見すると、紐の先端をくるっと丸めて結んであるだけのシンプルな輪っぱに見えるかもしれませんが、ここの結び方のクオリティにちょっとでも油断があると、あなたの大切な弓具全体にドミノ倒しみたいに悪い影響が広がってしまう引き金になっちゃうからですね。
まず、何をおいても一番に徹底してほしいのは、弦輪の命である「結び目をこれでもかっていうくらいガチッと力強く締め込んでおくこと」です。ここがふんわりと緩いまま完成させてしまうと、弓を引いて強いテンションがかかったときに、結び目がズルズルと滑って輪っぱが広がったり、最悪の場合は行射中に弭から弦がスコーンと外れてしまうことがあります。これは想像しただけでも本当に恐ろしいことで、矢があらぬ方向に飛んでいって危険なだけでなく、強い力で引き絞られた弓が弦を失った瞬間にパキーンとひっくり返って大破したり、外れた弦が自分の顔や腕を直撃して大怪我をする原因になります。だからこそ、結ぶときは指先にしっかり力を込めて、絶対に解けないタフな結び目を作ってあげてくださいね。
次に、さっきもお話しした「一重結び」と「二重結び」の選択ですが、やはり初心者の方ほど、迷わず安定感バツグンな「二重結び」をセレクトしてほしいかなと思います。一重結びは手軽に結べるので一見ラクチンなのですが、強い弓力に対してどうしても結び目が負けやすくて緩みやすいという弱点があります。弓道の道具の扱いに完全に慣れて、革や紐の性質が手の感覚で分かるようになるまでは、より高い強度と安心のホールド感を約束してくれる二重結びを自分の定番スタイルにするのが間違いないですよ。
それから、結び目の根元に施す「ねじり(もじり)」の回数と強さにも、ちょっとした職人ライクなこだわりを持ってあげたいところです。このねじりは、輪っぱが弭のカーブにピタッと吸い付くようにフィットして、矢を放ったときの激しいリバウンド衝撃に耐えるためのとっても大事なクッション工程になります。目安としてはだいたい2〜3回ほど、キュッキュとしっかりかけてあげるのがベスト。ただし、ここでも「絶対に緩まないように!」と親の仇みたいに過剰にギチギチにねじりすぎてしまうと、今度は弦の芯に入っている大切な繊維が中でブチブチと潰れて傷んでしまい、かえってそこからプチッと切れやすくなるという本末転倒なことになってしまいます。何事もやりすぎは禁物、革や紐の様子を見ながら「適度な張り」を意識して締めてあげるのが大人の作法ですね。
そしてもう一つ、練習中に「あ、ちょっとサイズを失敗しちゃったから、一度ほどいて作り直そう」と、同じ弦を何度も何度もほどいては結び直すのは、できるだけ避けるようにしてくださいね。弦というのは、細い繊維が何百本も集まって一本のタフな紐になっているデリケートな集合体。そのため、何度も爪を立てて結び目をほどいたり強い力で圧迫を繰り返していると、まだ使っていない新品の弦であっても、繊維が中で毛羽立ってしまって強度がみるみるうちに落ちてしまいます。もし「どうしてもサイズが合わなくて、もう3回もやり直している…」という状態になっちゃったら、安全のためにもその弦はいったん諦めて、新しい元気な弦を下ろして一発で結び直す方が、結果として事故を防げてずっと安全ですよ。
最後に、弦輪が見事に完成したら、弦の端っこの余った紐が変な方向にツンツン飛び出していないか、巻きつけた目が綺麗に揃っているかなど、全体の仕上がりを優しく目視で最終チェックしてあげるのも忘れないでくださいね。こうした「小さな確認の積み重ね」をマメにできる丁寧さこそが、大きな事故を未然に防ぎ、あなたの弓道の実力を裏から支える本当の強さになっていきますよ。慣れるまでは手順を書いたマニュアルを弓カバンに入れておいたり、翠山弓具店さんの丁寧な解説ページ(こちら参照)などをスマホで見ながら、繰り返しお家で練習してみるのがとっても効果的でおすすめですよ。
弦輪の位置がずれるリスクとは
弦輪が本来あるべき正しいポジションから上下にずれてしまっているとき、道場でのあなたの射の安定感は、気づかないうちにものすごいスピードで損なわれていってしまう可能性があるんです。特に入門したての初心者のうちは、目の前の「的を狙うこと」や「大きく引くこと」に全神経がいってしまっているので、弦を張った足元の弦輪の位置が数ミリずれていることなんて、言われるまで全く気づかないケースがほとんど。でも、その知らぬ間の小さな油断が、愛用の弓に対して毎日ものすごいストレスを与え続けているかも知れない、というのはちょっと知っておいてほしいリスクになります。
弦輪が本来の黄金位置から上下にずれてしまうと、まず真っ先に起こるのが「弓の上下のしなり具合(成り)がチグハグに歪んでしまう」という現象です。弓道で使う和弓は、元々上側と下側であえてアシンメトリー(非対称)に作られている繊細なバランスの乗り物。そのため、弦輪の位置が変わるということは、弓にかかる上下の引っ張りパワーの比率が狂ってしまうことを意味するんですね。この上下の張力が偏ったアンバサダーな状態のままで、「中らないなぁ」と毎日何十本、何百本と矢を放ち続けてしまうと、弓の木材やカーボンシートの内部に部分的な強い「ひずみ」が蓄積されていってしまいます。これが長期的に続くと、弓が徐々に変な形に曲がって元に戻らなくなったり、最悪の場合は引いている最中にメリメリッと音を立てて大破してしまうという、本当に悲しい破損リスクが高まってしまうわけです。
また、道具が痛むだけじゃなくて、ダイレクトにあなたのスコア(的中率)にも目に見える悪影響が出てきますよ。弦輪の位置がずれることで、弓を張った状態の弦のラインが、弓のジャストセンターである「正中線(せいちゅうせん)」からわずかに右や左に外れて通るようになってしまうんです。こうなると、引き絞っている本人は、先生に教わった通りに真っ直ぐ狙いを定めて完璧なフォームで構えているつもりでも、道具のスタートライン自体がすでに右や左に曲がってしまっているので、離れた瞬間に矢が不自然に右に逸れたり左にドロップしたりして、矢の方向性が完全にブレてしまいます。この道具側のブレというのは、目で見てパッと気づきにくい微細な変化なので、原因が分からないまま「自分のフォームが悪いのかな…」と自分の感覚を疑ってしまい、余計なスランプを自作してしまう原因にもなりやすいから厄介なんですよね。
さらに安全面のリスクを言うと、弦輪の位置が指定の場所よりも浅い位置、つまり弭の先端ギリギリの危うい場所にひっかかっていたり、斜めに歪んだ状態で固定されていたりすると、矢を放った瞬間の「バーン!」という強烈なリバウンドの衝撃に耐えきれずに、弦輪が弭からスルッと抜けて外れてしまうという大事故が起きる危険性があります。もし引いている最中や放した瞬間に弦が突然外れたら、弓の強烈な跳ね返りで自分の左手の甲や顔を激しく打ってしまって、大きなお餅のような内出血を作ったり、しばらく弓が握れなくなるほどの怪我を負ってしまうことだってあり得ますからね。これは本当に危ないです。
こんな恐ろしいトラブルから自分と相棒を守るためには、やっぱり「弓を張ったその直後」に、一呼吸置いてから必ずチェックを怠らない習慣をつけること、これに尽きますよ。立ち上がる前に、弓を上下にひっくり返してみて、「よし、日の輪も月の輪も、指定の位置で綺麗にまっすぐ正中線を通っているな」と自分の目でしっかり確認してあげること。そして、練習の合間や、ちょっと休憩を入れた後にも、弦輪の位置が動いたり緩んだりしていないか、恋人の様子を気にかけるみたいにマメに点検してあげる優しさが大切になります。ほんのわずかな位置のズレであっても、弓道においてはミリ単位で精度に大きな差となって現れますから、毎回の射をいつでも100%安定させるためにも、見落とさずに丁寧な確認を続けていきましょうね。
弦輪の大きさが弦に与える負荷
弦輪の輪っぱのサイズ感というのは、普段はあまり目立たない地味な部分ですが、実は弦全体の耐久性や、どれだけ長く元気に使えるかという「お財布への優しさ」を裏でコントロールしている、とても大きな要素なんですよ。見た目には本当にミリ単位のちょっとした大きさの違いにしか見えないかもしれませんが、これが弭(はず)のパーツとどれだけお互いにピタッと密着できているかによって、弦にかかる日々のストレスが全く変わってくるからですね。
まず、弦をかけるときに楽ちんだからと、弦輪をすこし「大きめのユルユルサイズ」で作ってしまった場合に、弦が受けるかわいそうな負荷について詳しく見ていきましょう。弭の太さに対して輪っぱが大きすぎて遊びがあると、弓を引いてパッと離した瞬間のもの凄いリバウンドエネルギーに耐えきれず、弦輪が弭の上で「ズズッ、ズズッ」と毎回わずかに擦れて動いてしまうようになります。この、一射ごとに起きる細かなズレと摩擦のせいで、弦の繊維が部分的に強く擦り付けられてしまい、あっという間にそこから毛羽立ちが始まってしまうんですね。その結果、まだ下ろして数日しか経っていない新しい弦であっても、部分的な負荷の集中によって、ある日突然そこからブツンと切れてしまうリスクが跳ね上がってしまいます。それだけじゃなく、弦輪が滑って動くときに弭の角に強く当たり続けることになるので、硬い弓の弭パーツそのものをガリガリと削り落として傷つけてしまうという、二重のダメージにも繋がっちゃうんですよ。
じゃあ逆に、「絶対に滑らないように、外れないように!」と、弦輪をかなり「小さめのキツキツサイズ」でタイトに仕上げたら安心かというと、実はそっちの方がもっと弦にとっては過酷なイジメになっちゃうんです。弦輪が小さすぎると、弓を張るときに弭の太い部分に向かって、上から無理やりギチギチと押し込む形になりますよね。この時点で、弦を編み込んでいる繊細な繊維たちが強い圧力でギュッと押し潰されて変形してしまいます。繊維が潰れてしまった弦は、本来持っているはずのしなやかな伸縮パワーがその部分だけ死んでしまうので、引き絞ったときの力が均等に伝わらなくなっちゃうんですね。さらに、そのまま無理に弓を張ってキープしている間も、小さすぎる輪っぱのせいで、弓が本来通りたいセンターのラインから斜め方向に向かって、常に不自然な引っ張りストレスが弦の根元に蓄積され続けることになります。矢を放つたびにその無理な負荷が一点に集中して爆発するので、弦の寿命を著しく縮めてしまうのは目に見えていますよね。
それじゃあ、弦が一番喜んでくれる「適切な弦輪の大きさ」ってどれくらいなのかというと、さっきもお伝えした通り、「弭のカタチにシンデレラフィットするけれど、張るときに指で無理に押し込まなくても、力を抜けばスッと気持ちよく定位置に収まるサイズ」が完璧なゴールになります。このジャストな状態が作れていると、矢を放ったときの凄まじい衝撃も、弦の繊維全体がショックアブソーバーみたいに均等に綺麗に分散して受け止めてくれるので、弦にかかる余計な負荷がゼロになり、何百本引いてもへこたれない驚くほどのタフさを発揮してくれるようになりますよ。もちろん、道具が長持ちすればそれだけお小遣いも浮くのでハッピーですよね。もし自分の作ったサイズ感が大きすぎるか小さすぎるか不安で夜も眠れないときは、実際に弓を張る前に、弭の先端にちょっと仮止めしてみて、指で触ったときに変な隙間がないか、きつすぎないかを確かめるクセをつけてみるのが一番スマートで有効な方法ですよ。見落とされがちな小さな輪っぱの調整ですが、初心者の方ほどこの基本を丁寧に大切にして、道具を愛してあげてほしいなと思います。
弓の張り方 1人での張り外しの手順
弓の張り方と外し方を、誰の手も借りずに1人だけでスマートに行えるようになることは、弓道人として一本立ちした証拠でもある、とっても誇らしいステップです。でも、ただできるだけじゃなくて、「正しい手順」と「絶対に怪我をしない安全なフォーム」をしっかり守ってあげることが大前提。これを無視して、自己流の間違った方向に無理な力を加えてしまうと、せっかくの弓の美しいカーブ(成り)が歪んで変形してしまう恐れがあるだけでなく、あなたが強い衝撃を受けて怪我をするリアルなリスクがありますから、こここそこぼさず丁寧にマスターしていきましょうね。
まず、弓を張る前の準備として、さっきもお話しした通り、床の上に柔らかいクッションや厚手のタオルなどをしっかり敷いて、弓の一番上の先端である「末弭(うらはず)」をその上に滑らないように安定させます。この「絶対に弓を滑らせない環境作り」こそが、怪我をしないための最初の一番大事な防波堤になりますよ。姿勢としては、左膝を道場の床にしっかりとつき、右膝は直角に立てる、弓道のおなじみの「片膝立ち(膝退の姿勢に近いフォーム)」を綺麗に取ります。この体勢をしっかり作ってあげると、自分のへその下(丹田)にグッと力が溜まって体重がブレなくなるので、腕の力だけに頼らずに、体幹を使って弓に均等な力をじわーっと加えやすくなるんですね。
ここから実際に弓を曲げていくのですが、手の位置が重要になります。あなたの左手は、弓の真ん中にある「握り(にぎり)」の少し下あたりの持ちやすい場所をしっかりホールドし、右手は弓の下側の「手下(てした)」と呼ばれる位置を上からガッチリと握り込みます。このポジションがセットできたら、腕の力で弓を引き寄せるのではなくて、自分の右手側にじわーっと体重を乗せていくようにしながら、ゆっくりと斜め下方向に向かって弓を押し込んでいきましょう。このとき、正常な反りを持っている健康な弓であれば、弓全体を左側にほんの少しだけコテッと倒した状態から真っ直ぐ押してあげると、弓のしなりに逆らわずに、一番無理のない最小限のパワーで綺麗にたわませることができますよ。押すときの力の配分としては、右手8割、左手2割の「右手主導」のバランスを意識すると、弓が手の中で反転するのを防げてとっても安全です。慣れてくれば左手で弓をコントロールすることもできるようになりますが、最初のうちはこの右手中心の安全運転で全く構いませんからね。
弓が十分にたわんで、弦の張力がフッと緩んだところを見計らって、右手で弦の「日の輪」を本弭の溝にしっかりと引っ掛けます。このとき、絶対に途中で右手の力を緩めたり、汗で手を滑らせたりしないように心臓がバクバクするくらい集中してくださいね!和弓が元に戻ろうとする反発パワーは想像以上に強烈ですから、ここで不意に手が離れてしまうと、弓が生き物みたいに跳ね返って自分の手を強く打ったり、最悪の場合は弓自体が逆方向に反転して一発で木っ端微調に破損する大事故になりかねません。弦が本弭の溝の奥までスコッとはまりきったのを確認するまでは、絶対に押し込む力を緩めないのが約束ですよ。無事に弦がかかったら、ゆっくりと体重を戻しながら弓を元の形に伸ばしていき、立ち上がってから、弦が弓のセンター(正中線)をまっすぐ通っているか、上下の成りのバランスが崩れておねしょしたみたいに歪んでいないかを、愛おしそうにしっかりチェックしてあげてくださいね。
弓の練習が終わって、弦を「外すとき」の手順ですが、これは今の張るときの流れをそのまま巻き戻し(リバース)するだけなので簡単ですよ。張るときと全く同じように、床にタオルを敷いて末弭を置き、片膝立ちの姿勢を作って、右手8割・左手2割の力加減でゆっくり弓を押し込んでいきます。弦のテンションがフッと緩んだら、本弭から弦の輪っぱを指先で優しくスッと外して、またゆっくりと弓の力を抜いて元に戻していくだけです。このときも、早く片付けたいからといって無理に弦を斜めに引っ張ったり、弦をギューギューねじりながら外そうとすると道具を傷めてしまうので、どこまでも優しくエスコートしてあげてくださいね。
このように、1人で弓を安全に張り外しするためには、力任せにやらないスマートな力配分と、正しい姿勢、そして安全に対する心地いい緊張感が何よりも大切になります。最初は「うわ、結構力がいるなぁ」とか「時間がかかっちゃうな」と戸惑うかもしれませんが、毎日のお稽古の始まりと終わりに繰り返しやっていけば、体が自然にコツを覚えて、そのうち慣れれば1分もかからずに、無駄な力を一切使わずにサラリと流れるような動作で張り外しができるようになりますよ。焦らずに、あなたの弓と呼吸を合わせるような気持ちで、丁寧に行うことを毎日の楽しみにしていきましょうね。
弦輪の向きと弓道の安全性の関係
弦輪の向きを正しく合わせるというのは、単に「昔からのルールだから」とか「見た目が綺麗に見えるから」といった形式的なマナーの話だけではなくて、実はあなたの怪我を防ぐための「安全性の確保」と、めちゃくちゃ深いつながりがあるお話なんですよ。もしもこの弦輪の向きをおざなりにしたまま適当に取り付けて弓を引いてしまうと、弦が本来持っているはずのねじれ構造が弓の反発力とケンカしてしまい、大事な弓具が壊れるだけでなく、あなた自身が痛い思いをする危険な事故を引き起こすリスクが高まってしまいます。
しつこいようですが、弓道で使う弦の輪っぱには「日の輪」と「月の輪」の2つがあり、日の輪は右向き、月の輪は左向きにクロスが来るように配置するのが大原則。この配置がミリ単位で正しく決まっているからこそ、弓をグググッと限界まで引き絞ったときに発生する強烈なエネルギーや、矢を放った瞬間のもの凄いパンッという反動・残り振動が、弓の本体(上下の竹やカーボン素材)に対してどこにも偏ることなく、均等に綺麗に分散されて吸収されるようになるわけです。道具が無理なくスムーズに動いてくれるから、安全なんですね。
もしもこの向きの左右をうっかり逆にして張ってしまうと、引いていくにつれて弦が弓のパーツを不自然にねじり上げるようなおかしな負荷がかかってしまいます。これによって、矢の軌道がグラグラにブレて中らなくなるのはもちろんですが、弓全体に対して左右非対称の歪んだストレスがかかり続けることになるので、たとえ頑丈なカーボン弓やグラス弓であっても、ある日突然「メリッ」と縦にひび割れが入ったり、最悪の場合は引いている最中に弓が横にゴロッと大反転して大破してしまうような、恐ろしい破損トラブルの原因になっちゃいます。特に、おろしたてでまだ馴染んでいない新弓や、引く力が弱くて全体がしなやかに大きく曲がる初心者用の柔らかい弓ほど、この弦輪の向きの間違いによるねじれダメージをダイレクトに受けやすいので、本当に侮れないポイントなんですよ。
さらに怖いのが、あなた自身の体への実害、つまり「怪我のリスク」です。弦輪の向きが逆でおかしなねじれが残っていると、離れの瞬間に弦がまっすぐ正中線を通って戻らずに、右や左に大きく蛇行しながら戻るような不規則なバウンドを起こしやすくなります。そうなると、矢を放ったその一瞬に、戻ってきた弦があなたの左手の手首や前腕の内側を「バチンッ!」と強烈に引っ叩いてしまう、いわゆる恐怖の「弦打ち(つるうち)」が起きやすくなるんですね。これを喰らうと、道場でおもわずうずくまってしまうくらい痛いですし、数日間は真っ黒な大きな内出血が残ってしまって、満足に練習ができなくなってしまうこともあります。こういった弦打ちのアクシデントは初心者のうちは自分のフォームのせいにされがちですが、実はその原因を紐解いてみると、「そもそも最初に張った弦輪の向きが逆だった」という道具側のセッティングミスが原因であるケースもかなり多いんですよ。
このような痛いトラブルや悲しい事故を未然に100%防ぐためにも、弓を張るその前に、一呼吸置いて弦輪のクロスの向きを自分の目で丁寧に確認して、正しくセットしてあげる習慣を今日から絶対に身につけましょうね。最初のうちは「これで日の輪が右になってるかな…?」と迷ってしまうこともあると思うので、道場にある見本の写真やイラストとじっくり見比べたり、指導者の先生に「先生、今日の弦の向き、合格ですか?」って笑顔でチェックしてもらうのが一番安心で確実ですよ。弓道というのは、こういう目に見えないくらい小さな基本の確認をどこまで徹底して愛せるかで、安全に、そして上達のスピードが変わってくる素晴らしい武道ですからね。毎回の丁寧なお世話を、ぜひ楽しんでやっていきませんか?
弦輪の大きさ調整と弓具の保護
弦輪の輪っぱの大きさを、あなたの弓の弭(はず)の太さに合わせてミリ単位で適切にアジャストしてあげることは、弓や弦といった大切な相棒たちを、これから何年も傷つけずに長く使い続けるために最もコスパが良くて効果的な、基本の手入れのひとつなんです。パッと見は「とりあえず弭に引っかかってればオッケーでしょ」と見逃されがちな部分ですが、サイズが合っていない弦輪をそのまま使い続けていると、弓の性能がガクッと下がるだけでなく、ある日突然、愛用の弓具を致命的に破損させてしまう大きなリスクを抱え込むことになっちゃいますよ。
まず、弦がかかりやすいからといって、弦輪をすこし「大きめのユルいサイズ」で妥協してしまった場合のリスクから考えてみましょうね。この状態だと、弓を張ったときは良くても、実際に矢を番えてパッと放した瞬間のもの凄いショックで、弦輪が弭の上で定位置をキープできずにズズッと横にズレてしまう危険があります。弦がそんな風に不安定なまま暴れてしまうと、矢を押し出す力が一方向に変に偏ってしまうので、弓の背中側の木材(外竹)に対して不自然なねじれストレスが加わり、長年使っていくうちに弓の先端が歪んで変形してしまったり、最悪の場合はメリメリッと縦に亀裂が入ってしまうような深刻な損傷に繋がることがあります。さらに、一射ごとに輪っぱが擦れて動くせいで、弦の繊維自体もみるみるうちに伸びやすくなってしまうので、せっかく買った弦なのに、すぐに弦高(弓と弦の間の幅)が下がって何度も張り替えなきゃいけなくなり、お小遣い的な負担も増えちゃって良いことが一つもありません。
じゃあ逆に、絶対に外れないようにと弦輪を「小さめのキツキツサイズ」でタイトに攻めたらどうなるかというと、これもまた弦にとってかなり過酷な試練になっちゃいます。輪っぱが小さすぎると、弭のパーツにはめ込むだけでも一苦労ですし、無理に指でグイグイ押し込もうとすることで、弦を綺麗に編み込んでいる繊維自体が中でギュッと潰れて変形してしまうんですね。このように繊維の内部に無理なダメージが蓄積された弦は、弓をピンと張ってキープしている間も、常に限界ギリギリの引き裂きストレスに晒され続けることになるので、耐久性が著しく損なわれてしまいます。特に梅雨のジメジメした時期や、夏の高温多湿な環境の道場で練習していると、限界を迎えた弦が、引いている最中に突然「ブツンッ!」と大きな音を立てて切れてしまうこともあり得ますから本当に油断できませんよ。
このような愛用の道具たちの悲鳴を未然に防ぐためには、やっぱり面倒くさがらずに、自分の弓の弭のサイズにぴったり合わせて、弦輪の大きさを丁寧に調整してあげるという意識を持つことが何よりも大切になります。手順としては、新しい弦を下ろしたときに、まずは弓の末弭の先端に仮に弦輪をトントンとかけてみて、指で軽く動かしたときにユルユルすぎず、かといって押し込まなくてもスッと溝に収まって固定されているかを、自分の手の感触で優しく確認してあげるのがコツですよ。もし「あ、これはちょっと小さすぎて弭がかわいそうだな」とか「ユルすぎて遊んじゃいそうだな」と感じたら、面倒でも一度ほどいて弦輪を丁寧に作り直すか、お使いの弓の太さに合った別の弦を用意してあげるのが、道具を愛する本物の弓引きの選択ですね。
そして、無事に弓を張り終えた後も、それで終わりにしてはいけませんよ。弦輪が正しい定位置にスコッと収まっているか、弦が弓のセンターライン(正中線)をまっすぐ美しく通っているかを、毎回練習の前に自分の目でしっかり点検してあげること。このマメなチェックを習慣にすることで、弓のわずかな反りの変化や、弦の結び目の摩耗をいち早く見つけることができるので、大事故になる前に優しくケアしてあげることができるわけです。弦輪の大きさを正しく整えることは、弓道における基礎中の基礎であり、一番道具への愛が伝わる行為です。こういう細かい調整の積み重ねが、結果としてあなたの大切な弓具を何年も守り、そして本番でのブレない安定した射を生み出す大きな力になってくれますからね。些細な作業と思わずに、ぜひたっぷりと時間をかけて、お気に入りの相棒を最高のコンディションにドレスアップさせてあげてくださいね。
弓道の弦の張り方の基本と正しい手順まとめ
- 弓を1人で安全に張るためには、低くドシッと構えた安定した姿勢と、末弭の下に敷く床の滑り止め(タオル等)が絶対に必須ですよ
- 弓を押し込んでいくときの理想の力配分は、右手側に8割・左手側に2割の「右手主導」を意識するのが安全の鉄則かなと思います
- 弓の自然な反りに合わせて、全体を左側に10〜30度ほど軽くコテッと倒してから真下に押すと、無理な負荷をかけずにスムーズに張れますよ
- 弦を本弭の溝にかけるその一瞬は、手が汗で滑ったり急に押し込む力を抜いたりしないように、心臓がバクバクするくらい全集中してくださいね
- 弦輪を編み始める前には、ガチガチに固まっている弦の先端を指先でマメにもみほぐして、しなやかに柔らかくしてあげるのが長持ちのコツです
- 弦輪の結び方のスタイルは、強い弓力に引っ張られても絶対に緩んでこない、安心の「二重結び」を使うのが間違いないですよ
- 理想の弦輪のサイズは、弭のパーツに対して余計な隙間なくぴったりとはまるけれど、無理に押し込まなくてもスッと入る大きさが100点満点です
- 弦輪をセットする上下の位置は、弓の末弭にある突起「三つ角」を起点にして、自分の指4本分を下ろした場所が長年受け継がれた黄金目安になります
- 弦輪の立体的な向きは、上側の「日の輪」のクロスを右向きに、下側の「月の輪」のクロスを左向きに正しく配置してあげるのがお約束です
- 結び目の根元のねじり(もじり)は、2〜3回ほどキュッキュとしっかりかけておくことで、何本引いても緩まない最強のストッパーになりますよ
- 弦輪が大きすぎてユルユルだと、放したショックで弦がズレてしまって、矢飛びが毎回バラバラになり射が不安定になる原因になっちゃいます
- 逆に弦輪が小さすぎてキツキツだと、弭の根元に無理に食い込んでしまい、弦の繊維を潰したり弓の先端をへし折る危険な負荷がかかります
- 弦輪の取りつけ向きをうっかり逆に間違えてしまうと、弓の表裏に不自然なねじれが加わって、ある日突然メリメリッと破損する大きな原因になります
- 無事に弦を張り終えたら、必ず一度一歩引いて、弓のセンターライン(正中線)を弦がまっすぐ美しく通っているかを毎回目視で確認してくださいね
- あなたの大切な弓具を10年先まで長持ちさせるには、この弦輪の大きさと、結び目の締め具合の日頃からの管理が本当に一番重要になってきます
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