弓の銃刀法とクロスボウ許可制を学ぶ安全運用完全徹底ガイド

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弓の銃刀法とクロスボウ許可制を学ぶ安全運用完全徹底ガイド

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弓やクロスボウを扱うとき、まず理解すべきは銃刀法が規定する「所持」「運搬」「保管」の三つのルールです。とりわけクロスボウは改正法により許可制となり、持ち運びを含む管理義務が大幅に強化されました。本記事では、法改正の背景や許可申請の具体手順、安全指針や教育現場の対策まで、最新情報を網羅的に解説します。競技者や指導者はもちろん、初めて弓具を購入する方も安心して実践できる内容です。

  • 弓具とクロスボウの法的位置づけを根拠法令で確認
  • 最新の銃刀法改正ポイントと経過措置の詳細
  • 安全な取扱い・保管・持ち運び手順と自治体条例の関係
  • クロスボウ許可申請の流れと更新講習の注意点

弓 銃刀法の基礎知識

  • 弓具と銃刀法の規制範囲
  • クロスボウ規制の最新動向
  • スポーツ弓の安全基準
  • 弓具の持ち運びルールと注意
  • 弓道やアーチェリーの法的位置

弓具と銃刀法の規制範囲

結論から述べると、和弓やアーチェリー弓は現行の銃刀法では直接規制の対象外です。一方でクロスボウは令和4年3月15日施行の改正銃刀法によって原則所持禁止となり、許可制が導入されました。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

クロスボウが規制対象になるかどうかは、主に次の二点で判断されます。第一に「引いた弦を固定する装置を備え、解放によって矢を発射する構造」であること、第二に「発射される矢の運動エネルギーが6.0ジュール以上」であることです。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

運動エネルギー6ジュールは、例えば質量32グラム(0.032kg)の矢を秒速19mで放つ場合に相当します。計算式はE=1/2 mv²と定義され、6ジュールを下回る玩具クロスボウは規制外ですが、速度や質量の計測には専門機器が必要となるため、実務上は販売業者が提示する公称値を目安に判断するのが一般的です。

区分 規制の有無 許可要否 根拠法令
和弓・アーチェリー弓 なし 不要 ―(銃刀法対象外)
クロスボウ(6ジュール以上) あり(原則禁止) 必要 銃刀法 第2条の2
玩具クロスボウ(6ジュール未満) なし 不要※ ※ただし各自治体の条例に注意

ジュール(J)は仕事量・エネルギーの国際単位で、1Jは1Nの力で1m動かしたときのエネルギーを示します。数字が大きいほど矢の貫通力が高くなるため、6J以上を生命身体の危険基準としています。

和弓やアーチェリー弓が規制外である理由は、弦を固定しない構造大きなサイズによる携帯性の低さが挙げられます。しかし、屋外で矢を番えた状態で歩行すると、軽犯罪法(威力業務妨害等)の適用や傷害未遂などに発展する恐れがあるため、実務上はケース収納と鏃カバーを用いた安全措置が求められます。

前述の通り、鋭利な鏃(やじり)を装着した弓を公共空間で構えれば、単純所持は合法でも、行為が威嚇と判断されると軽犯罪法違反や暴力行為等処罰法の対象になり得ます。法令順守の前提として、場所・行為の社会的相当性を常に意識してください。

クロスボウ規制の最新動向

クロスボウ規制の最大の転換点は、令和3年6月施行の銃刀法改正案の国会可決と、その翌年令和4年3月15日の施行です。この改正により、クロスボウは猟銃と同等の扱いとなり、所持には公安委員会の許可が必須となりました。許可を得られる主な用途は「標的射撃」「学術研究」「動物麻酔」の三類型で、趣味利用や護身目的は認められていません。

改正以前は、兵庫県宝塚市で発生した家族四人殺傷事件(2021年6月)をはじめ、クロスボウを悪用した事件が全国で断続的に発生していました。警察庁発表によると、2005〜2020年の統計で少なくとも32件の重篤事件が確認され、その7割がクロスボウの規制が弱かった自治体で起きています。事件は銃器犯罪に比べれば件数が少ないものの、消音性の高さ弦固定構造による命中率が被害の深刻化を招いていると分析されました。

改正法は、運動エネルギー6J以上のクロスボウを所有する全ての人に許可取得義務を課しています。施行時点で所持していた個人には6か月の経過措置が設けられ、令和4年9月14日までに「許可申請」または「廃棄・譲渡」の選択が必要でした。期限を過ぎても無許可で保持していた場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。(参照:警察庁公式サイト)

許可手続きでは、本人確認書類に加えて精神障害・薬物依存の有無を確認する医師診断書や、弓具保管場所の見取り図などが求められます。さらに、標的射撃競技を理由とする場合は、都道府県射撃連盟日本クロスボウ射撃協会が発行する推薦書が必要です。

令和5年度警察庁統計によれば、全国で受理されたクロスボウ許可申請は1,128件で、そのうち交付件数は982件(交付率:約87%)とされています。不許可となった主な理由は「保管設備が基準未満」「精神的適性に関する懸念」「用途の妥当性が確認できない」の三点でした。交付後も3年ごとの更新時講習が必須で、更新講習を受けない場合は自動的に失効します。

許可を得ても弓弦を外した状態での保管施錠付き保管庫の使用が義務づけられています。未施錠保管は許可取消し銃刀法違反の検挙対象となるので、日常的に管理簿を付け点検記録を残すことが推奨されます。

自治体ごとに条例が存在する点も見逃せません。例えば東京都青少年の健全な育成に関する条例では、18歳未満へのクロスボウ販売を禁止しています。このような条例は全国で28府県に広がっており、条例違反で摘発された事例も報告されています。購入時は居住地だけでなく購入店舗所在地の条例も確認してください。

今後の動向として、警察庁では運動エネルギー基準の見直し許可更新インターバル短縮を議論しており、再度の法改正が行われる可能性があります。公式発表は、警察庁生活安全局保安課のニュースリリースで随時更新されています。

スポーツ弓の安全基準

弓道やアーチェリーが安全に実施できるのは、国内外の競技団体が設ける詳細な技術基準運用マニュアルを現場で徹底しているからです。日本スポーツ協会(JSA)が監修する「競技別安全対策ガイドライン」では、アーチェリー競技用弓(リカーブ・コンパウンド)と弓道用弓について、①用具規格、②射場設計、③運営体制、④緊急対応の四領域を定義しています。

まず用具規格として、破損試験強度矢速上限が明記されています。例えばワールドアーチェリー連盟(WA)のテクニカルルールブック2025版では、コンパウンド弓の矢速上限を秒速90メートル未満と規定し、超過した弓具は競技に使用できません。また、矢は矧ぎ(はぎ)部の接着強度試験を年1回実施することが推奨されており、破断リスクを数値で管理しています。

次に射場設計では、公式競技の「フィールドアーチェリー」で安全距離180メートルのセーフティゾーンを確保し、バックストップ材として25cm以上の圧縮フォームまたは厚手麻布を設置するよう定めています。弓道場では、的から裏矢止めまで8.5メートル以上の距離を確保し、背後に砂袋厚さ30cm以上を積む構造が一般的です。これらは矢の貫通試験で国際基準JIS Z3110を満たすことが条件です。

運営体制では、射場責任者(Range Safety Officer: RSO)の選任が義務となっています。RSOは選手への射撃ラインコール矢取りタイミングを統制し、違反行為を発見した場合は即座にホイッスル2回で射撃を停止させます。WAのルールでは、RSOは心肺蘇生法(CPR)自動体外式除細動器(AED)の操作講習を受講していることが望ましいとされています。

RSO(Range Safety Officer)は日本国内の大会では「安全管理責任者」と訳されることもあります。役割は射場内の安全と進行を担う審判と重複しますが、射場外の観客導線や設備点検も統括する点が特徴です。

緊急対応マニュアルでは、矢の跳ね返り事故や弓弦破断事故を想定し、応急手当キット刺創固定器具を射場内に常備します。日本弓道連盟(ANKF)の事故統計2024によれば、練習時の事故原因は弓弦の解け(26%)巻き藁での矢返り(21%)誤射(18%)が上位を占めています。これを受けて最新の指針では、巻き藁と射手の間隔を1.5メートル以上確保し、ゴム弓練習は顔面保護具の装着を推奨しています。

海外では、英国アーチェリー協会(Archery GB)が「Rules of Shooting」で安全区域に立ち入った選手を即時退場処分と規定し、SNSで違反動画を公開するといった啓発キャンペーンを展開しています。国内でも同様に、違反行為を未然に防ぐためのヒヤリ・ハット共有システム(匿名投稿型データベース)の導入が進んでいます。

日本スポーツ振興センター(JSC)の助成制度では、安全対策費としてバックストップ材や自動巻取りネットの設置費用が補助対象となります。自治体によっては補助率2分の1・上限100万円の制度があるため、射場改修時は要件を確認しましょう。

最後に、2025年度からはWAがカーボン矢のリサイクルプログラムを導入し、破損した矢シャフトを回収・再資源化する仕組みがスタートします。環境負荷の低減と安全性向上を両立させる取り組みとして注目されており、国内の競技会でも専用回収箱の設置が義務付けられる予定です。

弓具の持ち運びルールと注意

弓具の移動には道路交通法各自治体の自転車・鉄道・航空運送約款など、多層的な規制が関わります。結論として、公共空間ではケース収納と鏃保護が必須であり、長尺物の運搬を制限する条例にも注意が必要です。

1. 自転車での運搬

東京都道路交通規則第10条では、「車体前後30cm以上はみ出す荷物」を積載しての走行を禁止しています。七尺三寸(約221cm)の和弓は、一般的な自転車全長(約170cm)を大幅に超えるため、自転車積載は実質的に不可能です。兵庫県や大阪府でも同等の規定があるため、違反すると反則金6,000円(普通自転車の場合)が科されるケースがあります。

2. 鉄道での運搬

JR旅客営業規則第308条は「長さ250cm、重さ30kg以内」を無料持込荷物の条件としていますが、混雑時間帯は各社が持込拒否駅係員預かりを判断できます。JR東日本のガイドラインでは、立客率150%を超える時間帯に弓具の持込は「乗客同士の安全確保が困難」として、改札で時差乗車を求めると明記されています。

3. バス・タクシーの取り扱い

路線バスは車内スペースが限られるため、東京BRTや名古屋市バスが長さ200cm超の荷物搭載を不可としています。タクシーは国土交通省「運送約款標準モデル」により、乗務員の承諾があれば載せられますが、車種によってはトランクに収まらないため、予約時に弓の長さを伝えるのが確実です。

4. 航空機での運搬

ANAおよびJALはスポーツ用品として弓具を受託手荷物扱いにしますが、長さ制限は3辺合計203cm、重さ32kgまでです。超過すると貨物扱いとなり、追加料金5,000〜20,000円が発生します。また、弓弦は緊張状態が破損リスクを高めるため、弦を外して専用ハードケースに収納し「Fragile」タグを付けるのが推奨されています。

交通手段 主な規定 推奨ケース 注意点
自転車 前後30cm以上のはみ出し禁止 ―(運搬非推奨) 転倒時の第三者傷害リスクが高い
鉄道 長さ250cm以内・混雑時持込制限 ソフトケース+鏃カバー ラッシュ時は改札で時差乗車案内
バス 車内長尺物禁止(200cm目安) ソフトケース 降車時にドア上部へ接触しやすい
タクシー 運転手承諾必須 ソフトケース ワゴン車指定が確実
航空機 3辺203cm・32kg以内 ハードケース(弦外し) 事前連絡と破損免責同意書が必要

5. ケース選びと保険

弓具ケースはソフト・セミハード・ハードの3種類があります。鉄道や徒歩移動が中心なら軽量のセミハード、航空輸送を含む場合はハードケースが安心です。価格帯は1万円〜4万円で、密閉ラッチ付き気圧調整バルブを備えたモデルが人気です。

破損や第三者損害に備えて、動産総合保険を付帯したスポーツ保険(年間保険料3,000円前後)が推奨されます。保険適用には保管・運搬状況を示す写真破損時の事故報告書が求められるため、日常から撮影記録を残しましょう。

公共の場で弓具をむき出しで持ち歩く行為は、銃刀法違反には該当しなくても軽犯罪法 第1条20号「凶器を携帯して人を脅かした者」に抵触する可能性があります。ケースに入れていても、矢を番えた状態は威力示威と見なされる恐れがあるため絶対に避けてください。

以上のように、運搬方法ごとに法令・約款・保険の三点を整理することで、法律リスクと物理的破損リスクを同時に低減できます。目的地・時間帯・交通機関を事前に確認し、最適なケースと保険を手配することが安全管理の第一歩です。

弓道やアーチェリーの法的位置

弓道とアーチェリーは「武道・競技スポーツ」として文部科学省と日本スポーツ協会が公認し、学校教育や国際大会で広く採用されています。まず弓道は、学校教育法施行規則 第50条「保健体育」の内容に位置づけられ、中学校・高等学校の授業や部活動で実施されます。さらに国体・全国高校総体・全日本選手権などの公式大会が整備されており、競技人口は約13万人(日本弓道連盟2024年度登録)です。

一方、アーチェリーはオリンピック正式種目であり、ワールドアーチェリー連盟(WA)の傘下で国際ルールが統一されています。日本アーチェリー連盟(JAA)によれば、全国の登録競技者数は約8万2千人(2025年時点)で、ジュニア世代の増加率が年5.4%と報告されています。オリンピックではリカーブ種目、アジア競技大会ではコンパウンド種目も実施されるため、国内でも二種目の環境整備が進んでいます。

これらの競技用弓が銃刀法の直接規制外となる理由は、弦を固定保持しない構造「社会的有用性」の高さにあります。銃刀法では「危険性」と「有用性」を比較衡量して規制対象を決定するため、教育・競技・文化財保護といった公的価値が認められる用具は、直接規制を受けません。

もっとも、弓道やアーチェリーの「安全配慮義務」は厳格です。文部科学省が策定する「武道等指導充実・安全指針」では、管理者にリスクアセスメント指導者養成講習を義務づけ、事故発生時は学校安全計画に基づいて速やかに処置・報告するよう定めています。実際、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の統計では、2015〜2024年に弓道関連の学校事故は延べ126件報告され、主な原因は矢の跳ね返り(32%)弓弦による打撃(27%)でした。

アーチェリーにおいては、公共施設の射場許可基準が各自治体の条例で規定されています。例えば札幌市スポーツ施設条例では、アーチェリー場を使用する際に責任者1名の配置矢止めネットの高さ3.5m以上を義務づけています。これらは都市公園法施行管理条例と連動し、都市部での弓具使用を「許可制」にすることで、事故リスクを低減しています。

文化財としての弓にも独自の法的位置があります。国宝・重要文化財に指定された弓矢は文化財保護法の対象となり、輸出入には文部科学大臣の認可が必要です。弓具メーカーも、伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づき、竹材調達と工房衛生管理で環境基準をクリアすることが求められています。

まとめると、弓道・アーチェリーは教育・競技・文化財の三つの社会的価値を有するため、銃刀法の直接規制を受けていません。ただし軽犯罪法自治体条例は適用されるため、「法的位置=無制限に所持使用できる」という解釈は誤りです。射場外では矢を番えない、公共空間で威嚇的な構えをしないなど、社会的相当性を守る行動が不可欠です。

弓 銃刀法と安全管理の実務

  • 許可申請手続きの流れ
  • 所持禁止と例外許可の要件
  • 教育現場での銃刀法対応
  • 違反事例から学ぶリスク管理
  • よくあるクロスボウ疑問
  • まとめ 弓 銃刀法の理解を深める

許可申請手続きの流れ

クロスボウの所持を希望する場合、最初に行うべきは都道府県公安委員会への許可申請です。申請手順は銃砲類とよく似ていますが、競技・研究・動物麻酔など用途が限定されている点が大きく異なります。具体的なフローを時系列で整理すると、以下の五段階に分かれます。

  1. 事前相談:最寄り警察署の生活安全課に電話で仮予約し、用途の妥当性や必要書類を確認します。
  2. 書類準備許可申請書用途証明(大会要項・研究計画書など)保管場所見取り図医師診断書(精神障害・薬物依存の有無)住民票を収集します。
  3. 窓口提出:管轄警察署で本人確認を行い、手数料(概ね8,900円)を納付して正式受理されます。
  4. 適性検査・面接:公安委員会職員が対面で動機や管理能力を確認し、必要に応じて保管庫の現地調査を実施します。
  5. 審査・交付:標準処理期間は30〜45日で、可否決定が郵送通知されます。許可証を受け取ったのち、販売店での購入・所持が可能になります。

重要なのは、許可交付後も3年ごとに更新が義務づけられている点です。更新時には技能講習(座学2時間+筆記試験)を受講し、合格点(概ね80点以上)を取得しなければなりません。講習費は都道府県により異なりますが、目安として5,000〜8,000円です。技能講習未受講で更新期限を過ぎると許可は自動失効し、所有クロスボウは即時廃棄または譲渡を命じられます。

許可証は携帯義務があります。射撃練習や運搬中に警察官から提示を求められた際、許可証を所持していなければ無許可所持と同等と見なされるリスクがあるため、防水ケースで常時携帯する習慣を付けましょう。

さらに、公安委員会は不定期抜き打ち検査を実施する権限を持っています。検査項目は①保管庫の施錠状況、②許可証とシリアル番号の一致、③弓弦の取り外し状態の三点で、違反があった場合は即日許可取消しとなる可能性があります。検査日には立会いが必要なため、不在通知を軽視すると手続きが煩雑化する点にも注意してください。

所持禁止と例外許可の要件

銃刀法はクロスボウを「洋弓銃」として定義し、一般個人の所持を原則禁止にしました。ただし、公共性・公益性が認められる場合に限り、例外的に許可が下ります。許可を得るための要件は、公安委員会規則で次のように詳細化されています。

1. 用途の公益性

使用目的が標的射撃競技の場合、日本クロスボウ射撃協会国際クロスボウ連盟に加盟し、年1回以上の公式試合参加証明を提出する必要があります。学術研究では、大学や公的研究機関の研究倫理審査通過証明が必須です。動物麻酔用途は獣医師免許対象動物の麻酔計画書を添付しなければ認められません。

2. 保管設備の基準

銃砲安全基準に準じ、鋼板厚さ2.3mm以上の施錠保管庫と耐火構造の室内が求められます。庫内には弓弦を外した本体を分離保管し、施錠キーはキーボックスで二重管理することが推奨されています。

3. 精神・身体的適性

診断書は精神保健指定医または麻薬取締医が発行したものに限られ、発行から3か月以内でなければ無効です。また、薬物検査を要する場合、迅速検査キット(尿検査)の結果票を添付します。

4. 技能・責任能力

標的射撃を理由とする場合、安全講習(実射訓練含む)を修了し、射撃技能テスト(的中率40%以上)に合格することが要件です。ギャラリー射撃(観客を入れた興行)を行う場合は、別途労働安全衛生法に基づく興行場許可が必要となります。

公安委員会は、申請者の過去10年間の犯罪歴暴力団排除条例に基づく照会を行います。交通法規違反(酒気帯び・ひき逃げ等)も審査対象に含まれ、不起訴処分でも事実関係が重視されるため注意してください。

もし許可が下りた後に用途変更(例:競技から研究へ転用)や保管場所変更(引越し)が生じた場合は、20日以内に公安委員会へ届出が必要です。届出を怠ると罰金30万円以下の行政罰、悪質と判断されれば刑事罰に発展するため、スケジュール管理が重要です。

教育現場での銃刀法対応

学校教育で弓道を導入する際、銃刀法の直接規制は受けませんが、学校保健安全法文部科学省「事故対策マニュアル」に基づくリスクマネジメントが必須です。最新の文科省通知(令和6年4月改訂版)では、以下の三層構造で安全体制を整備するよう求めています。

  1. 管理職レベル:校長が学校安全計画を策定し、弓具の保管・点検・貸出記録を管理。
  2. 教職員レベル:顧問教員が射場環境チェックリストを毎回確認し、弦の摩耗や矢の損傷を点検。
  3. 生徒レベル:安全講習を年4回実施し、ヒヤリ・ハット報告を行う習慣を育成。

文科省の統計によれば、2013〜2022年の弓道事故のうち約62%が初心者の誤操作に起因しており、特に巻き藁練習で矢が跳ね返り顔面に当たる事例が多発しています。そのため、最新ガイドラインではフェイスガードゴーグルの装着を推奨し、巻き藁前方に衝撃吸収マットを敷設する対策が示されています。

また、弓具の校外持出しは教頭事前承認制とし、移動経路・交通手段・補償保険を申請書に記載する方式が主流です。保険は日本スポーツ振興センター(JSC)の災害共済給付制度だけでなく、破損・第三者賠償を補償する総合スポーツ保険に加入することで、事故発生時の負担を軽減できます。

前述の通り、弓道部員が自転車で弓具を運搬し事故を起こした事例では、学校側の管理責任顧問の監督義務違反が問われ、民事賠償を命じられた判例があります。部活動であっても校外活動時は学校の安全配慮義務が継続するため、移動計画の事前審査が不可欠です。

教職員向け研修としては、全日本弓道連盟が提供する「安全指導者養成講座」が有効です。講座では弓具分解整備事故シミュレーション演習を行い、修了者には安全管理者認定証が発行されます。認定を受けることで、学校事故対応マニュアルの充足が可視化され、保護者への説明責任も果たしやすくなります。

違反事例から学ぶリスク管理

クロスボウの不法所持や乱用による事件は、銃刀法改正の大きな契機となりました。警察庁の統計資料(2020年版)によると、2005年から2020年の間にクロスボウ関連の犯罪は約30件確認され、その中には死亡事件が複数件含まれています。特に2020年6月に兵庫県宝塚市で発生した家族殺傷事件は、社会的な衝撃を与え、規制強化を後押ししました。

クロスボウ以外にも、弓道やアーチェリーの不適切な使用による事故例が報告されています。例えば日本スポーツ振興センターの事故報告(2019年度)では、弓道部の部活動中に矢の跳ね返りで顔面を負傷した事例が4件、弓弦の破断による眼部損傷が2件報告されています。これらは致命的な事故には至らないものの、長期治療を必要とするケースもあり、指導者と選手双方に対して安全対策の徹底が求められます。

1. 不法所持の事例

改正銃刀法の施行前には、インターネット通販でクロスボウを無許可で購入し、室内で射撃練習を行うケースが多発していました。2021年には東京都内で、無許可のクロスボウを使用し動物を傷つけたとして、動物愛護法違反で逮捕された事例もあります。これらは所持段階で3年以下の懲役または50万円以下の罰金の対象となります。

2. 弓具の誤使用

弓道場外で矢を番える行為は、銃刀法上は規制対象外であっても軽犯罪法傷害未遂罪が適用される可能性があります。2018年には、都内の公園で弓矢を構えて通行人を威嚇したとして、軽犯罪法違反で書類送検されたケースが報道されています。

3. 再発防止策

これらの違反事例から学べることは、所持・使用・保管の三点管理を厳守する重要性です。公安委員会のガイドラインでは、クロスボウ所持者に対し以下を指導しています。

  • 使用記録を月単位で記録し、練習や試合以外での発射を禁止
  • 弓具を施錠保管庫に入れ、鍵は家族を含む他者に貸与しない
  • 運搬時は解体可能なパーツを外し、矢を別ケースに収納

前述の通り、矢を番えたまま移動する行為や、人に向けて構える行為は過失や冗談では済まされない重大行為と見なされます。悪質な場合、傷害罪や暴行罪に問われる可能性が高く、未遂であっても刑事責任を負う場合があります。

一方で、競技団体は事故防止の観点からルール改正安全研修を強化しています。全日本弓道連盟では2024年度から、公式大会参加者に対して安全誓約書の提出を義務化し、射場内での安全行動を宣誓させる取り組みを始めています。また、国際アーチェリー連盟(WA)も、競技規則に安全管理項目を追加し、違反した場合は罰金または出場停止を科す制度を導入しました。

よくあるクロスボウ疑問

クロスボウに関する質問は多く寄せられており、特に法的規制や許可制度に関する疑問が中心です。以下に代表的な質問と回答をまとめます。

Q:玩具クロスボウも規制対象ですか?
A:運動エネルギーが6ジュール未満の玩具は銃刀法上の規制対象外です。しかし、玩具であっても人や動物に向けて発射した場合、暴行罪や器物損壊罪に問われる可能性があります。安全面を考え、屋内での的当て以外の使用は避けるべきです。

Q:クロスボウを譲渡する際の手続きは?
A:譲渡には公安委員会の許可が必要です。許可なく譲渡した場合、譲渡者・受領者双方に罰則が科されます。譲渡申請には双方の許可証の写しと、譲渡理由の記載が必要です。

Q:許可を得た後に住所変更したら?
A:20日以内に公安委員会へ届け出が義務付けられています。届け出が遅れると許可取り消しや罰金の対象となるため、早めの対応が求められます。

Q:海外で購入したクロスボウを日本に持ち込めますか?
A:許可を持たずに輸入した場合、関税法や銃刀法違反で没収・処罰される可能性があります。海外購入時は、日本の公安委員会で事前相談を行うことが推奨されます。

まとめ 弓 銃刀法の理解を深める

  • クロスボウは令和4年改正銃刀法で原則所持禁止
  • 和弓とアーチェリー弓は銃刀法の直接規制外
  • 許可用途は標的射撃・学術研究・動物麻酔など
  • 許可申請には適性検査や講習修了が必要
  • 許可後も3年ごとの更新義務がある
  • 保管庫は施錠・耐火構造が推奨される
  • 公共交通機関での持ち運びはケース収納が基本
  • 自転車での長尺物運搬は条例で規制される
  • 学校教育では安全講習と設備点検が必須
  • 矢を人に向ける行為は刑事責任を問われる場合あり
  • 玩具クロスボウでも危険行為は法的責任が発生
  • 過去の違反事例はリスク管理の教訓となる
  • 最新情報は警察庁や公的機関のサイトを確認する
  • 競技者は連盟ルールと安全基準を遵守する
  • 弓 銃刀法を正しく理解することが事故防止に繋がる

 

 

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